めっちゃ軽い気持ちで琵琶湖一周


TL;DR

  • ママチャリで琵琶湖一周しました。
  • できるだけ準備をせずに出発
  • 雪の時期の琵琶湖一周は死ぬ(でも生きてます)
  • 24時間以上かけてやっとゴール

“めっちゃ軽い気持ち"で琵琶湖一周とは

3月に東の地に引っ越す予定なので行くならこのタイミングだなと思いまして、2月14日から15日にかけてママチャリでの琵琶湖一周を決行しました。 と言っても、別に前々から琵琶湖一周したいわけでも自転車が好きなわけでもないです。 むしろ運動とかは嫌いだし琵琶湖自体も全然興味ありません。

たまにあるんです。思いついて始めてしまうことが。 今回はそれが「めっちゃ軽い気持ちでママチャリ琵琶湖一周」だっただけです。

今回のコンセプトは"めっちゃ軽い気持ち"です。 一般的に何かゴールを決めて実行する際はある程度の覚悟・準備・意気込みを持ってしまいがちです。 それを今回はできるだけそぎ落としてみようと思います。 というわけで"めっちゃ軽い気持ち"でママチャリ琵琶湖一周を実行する上で以下の項目をクリアできるよう心がけました。

  • 準備しない 少しでも準備をしてしまうと計画的になってしまい軽い気持ちではなくなります。出発する前から"めっちゃ軽い気持ち"は始まっています。

  • ルートを決めない 楽なルートを決めるともちろん楽な琵琶湖一周に、優雅なルートを決めるともちろん優雅な琵琶湖一周になります。しかし、そういった〇〇したいという気持ちさえ琵琶湖一周に対して重い気持ちを持つことになってしまいます。ルートを決めずにいつどこから何が飛び出すかわからないという状態こそがめっちゃ軽い気持ちです。

  • 日程を決めない いつやるか。そんな考えは実に馬鹿らしい。行きたいという気持ちは日々変化しているのにも関わらず、あらかじめ日程を決めるのは非常に面白くない。できる限り気分に従って出発するべきである。

  • 共有しない 何かを成し遂げるとそれを他の人に共有したいという感情が沸きます。そういった欲望は大事ですが、軽い気持ちでやる上では邪魔です。軽い気持ちで行うにはその原動力は軽くなくてはなりません。根底に自己顕示欲といった欲望を置くと趣旨から外れてしまいます。

  • 上記の項目を必ずしもクリアしなくてもよい 上記のルールを考えた時点である種の計画を行ったことになってしまう。それでは完全なる"めっちゃ軽い気持ち"とは言えません。なので、最悪クリアしなくてもいいや、もっと言うと琵琶湖一周なんてしなくてもいいやって気持ちが大事です。

出発 1日目

さて午後3時過ぎ頃に出発。 もちろんその日に琵琶湖一周をすることはその日に決めました。 出発前の準備についても、PCと小説を入れたバックパックと最低限の防寒具を用意はしたものの琵琶湖一周にあったら良さそうなものを調べずに出発しました。 ちなみにスタートラインは草津あたりだと思っといてください。 出発したらとりあえず琵琶湖を見つけるために草津から北へ向かいます。 この時、地図を全く見ないと決めているので本当に適当に進んでいます。 途中でそういえば昼食を食べていなかったと松屋で牛丼を食べる。 せっかくなのでこのタイミングでMovesという位置情報をトラッキングをしてくれるアプリを使い始めてみました。 出発後に決めてアプリを入れるあたりがめっちゃ軽い気持ちポイントが高いですね。

琵琶湖発見

引き続き琵琶湖を探すために適当に北上。 とにかく突き進み続けると水辺を発見。 この時も地図を見てないので琵琶湖かは不明でした(その後琵琶湖博物館を見つけ琵琶湖だと確信する)。 特に湖に執着はないので自転車を止めて景色を眺めることもなく、そのまま湖畔を走り続けました。

途中で琵琶湖博物館の周りを一周してしまい「あれ!?思ったより琵琶湖小さいな?もう一周しちゃった」と勘違いするおちゃめな場面もありましたが、順調に琵琶湖を反時計周りに進みます。 この時点でお尻がかなり痛い状態だったので、間にちょくちょく休憩を入れています。 脚が辛くて動かないということは全くなく、それよりお尻の痛みがこの琵琶湖一周を通して重くのしかかってきました。

あと、途中でピエリ守山を発見したので入ってみたんですが、思ったより人が多くて幻滅しました。

そして、20時頃、お腹が空いたので近江八幡の市内へ向かいました。 どこらへんが近江八幡かはわからなかったので、適当に光がある方へ進み続けると上手くたどり着けました。

夜の琵琶湖

長めの休憩を取り再出発。 ここらへんからちゃんとした道がわからなくなったので、しれっと地図見ない縛りを解きました。 といっても目の前の道が行き止まりじゃないか確認する程度でこの先のルートを決めるほどではありません。

街灯も少ない滋賀の道を走行。 夜になると車の通りも少なく、湖畔は波の音と生き物たちの鳴き声だけが暗闇をこだまします。 この時感じたのは、自然って怖いな〜ってことです。 暗闇の中では鳥の鳴き声も妖怪の叫び声に聞こえるし、山は巨人の顔に見えるし、琵琶湖は大きな穴のように感じます。 まぁ適度な恐怖はワクワク感に変わって割と楽しかったです。

寝ずの2日目

徐々に眠気が強くなる0時過ぎ。 どこかに泊まるという選択も考えたのですが、次の日の夜に見たい番組があったので寝ずに走り続けることにしました。 とは言え眠たいものは眠たいので、適当なバス停の小屋で少し睡眠を取ろうと思いました。 しかし、あまりにも寒くて寝られず、寝たとしても死んでしまうのではないかという考えに至りました。 よく聞く「寝たら死ぬぞ」っていうやつです。 凍死する前に飛び起きて、湖北さえ抜ければ…という一心で自転車を漕ぎ続けました。 (ここらへんでもう引き返せない所まで来てしまったことに気づき「えっ?俺マジで琵琶湖一周するの?」と思い始めます)

死を知った雪、犬、熊

寝ることはとうに諦めた4~6時頃。 積雪によって自転車で走ることができるスペースは次第に狭くなっていきます。 完全に雪に覆われた道も増えてきてどこが通れる道か地図を見てもわからない。 幸い琵琶湖一周用のルートは最低限除雪されており、道を誤らなければなんとか進むことができました。 しかし、そのルートさえも雪が積もっている場所があり、この先本当に琵琶湖一周できる道があるのだろうか?と不安と絶望に包まれていました。 進んでは行き止まり、進んでは行き止まりといったハズレばかりのあみだくじを引き続けなんとか進み続けました。

絶望

その道中で驚いたことがいくつか。 走っている道に柴犬が横たわっていたのです。 最初は何か茶色っぽいものが見えたので避けて通ったのですが、横を過ぎる瞬間にそれが犬だとわかりました。 寝ていたのか死んでいたのかわかりませんが、その時の自分は必死に自転車を漕ぐことしかできませんでした。 しかも、今後のルートが不確定で周りには何もなく命を第一に生きよう生きようという気持ちでいっぱいでした。 真相がわからない以上、あの時どうにかできたのではないか?もし生きていたら助けられたのではないか?という後悔が伴います。 未だにこの気持ちに答えは出ていません。 そんなわけで、ちょっと軽い気持ちのはずが生と死、正義について考えさせられてしまいました。

そして、道がよくわからなくなった挙句、雪が積もっている狭い山道を自転車を押し進んでいた時のこと。 周りに木々が生い茂る中1つの看板を見つける。 「熊出没注意」 背筋が凍るとはこのことかと思いました。 もちろん「この時期に熊なんて出てこないだろう」という理性的な思考は働いてはいたのですが、もし熊が現れたらどうしようという考えは止められません。 もし昼間に今後のルートを決めた上でこの看板を見たとしても、きっとここまで恐怖は感じないのでしょう。 この時の自分はかなり追い込まれていたので、恐怖心も一際でした。

ここで私のめっちゃ軽い気持ちは死への恐怖と混ざり合い、1つの考えに至りました。 まぁ死んでもええかという気持ちです。 そして、私は気が付きました。 究極の"めっちゃ軽い気持ち"とは**「最悪死んでもいいや」**なのではないかと。

終わりが見えた湖北越え

車の通りの少ない(というか皆無な)湖畔を走行し続け、やっと雪が見えなくなりました。 湖が綺麗だったのでさすがに自転車を止めて、写真を撮ってしまいました。 朝方の琵琶湖はなかなか幻想的ですね。 まともに撮った琵琶湖の写真はこれ1枚だけです。 湖北をなんとか超えてここらで琵琶湖一周の進捗は2/3くらいです。 とはいえ、この後は雪もないし起伏もなかったので楽ちんでした。

早朝の琵琶湖

いろいろあったけど一周した

というわけで、適当に始めた旅をまとめた記事も適当な感じにここで終わらせたいと思います。 いろいろあっていろいろ辛かったけど、本当にちゃんと1周しました。 多分200km以上は移動してますが、変速装置が壊れ気味でずっとギア1だったのでちんたら走ってます。 ログを見ると自転車に乗っている時間は17時間23分で、自転車を押して歩いている時間が2時間くらいでした。 トラッキング開始から25時間くらいでゴールしたので、それ以外の時間は休憩です。

琵琶湖一周ルート

まとめ

もう少し書きたいことあった気もしますが、めっちゃ軽い気持ちをまとめた記事も、めっちゃ軽い気持ち故に途中で飽きちゃいました。 もっと詳しく聞きたい人は直接話聞いてください。 “めっちゃ軽い気持ち"の項目のうちに「共有しない」がありましたが、実はTwitterでちょっと呟いちゃったりこの記事を書いちゃったりとあまり達成できてない気もします。 ただ、直接会った人に対しては、琵琶湖を一周したことを一切話さず今に至ります。

僕自身はあらかじめ計画する旅も有名な名所を巡る旅も今回のような旅も全て大好きです。 とにかくこの記事で言いたいことは、パッケージ化された旅もいいですけどたまには違うことをしてみませんかという提案です(こじつけ) 。まぁ3月には例のサイコロ旅もやると思います。

おわりじゃよー

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